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コイン投げで表が出る確率、裏が出る確率
一般的には…
コインに仕掛けが無い場合は一般的に言われる様に、表・裏が出るのは半々です。
確率論的に表現すれば表が出る事象Aの確率Pr(A)は0.5、裏が出る事象Bの確率Pr(B)も0.5という感じでしょうか。(あまり自信はありませんが…)
これは正しいでしょう。
ただ、個人的にはもう少し色々な観点から調べてみたいと思います。
実験方法
実際にコインを投げて記録を…と言うのは少し時間が掛かりすぎるのでプログラム的に表・裏を出す様にします。
Random random = new Random(); //Rondom::NextDouble()は0.0~1.0までの一様乱数を生成 if (random.NextDouble() > 0.5) { // 0.5~1.0の場合は表とする } else { // 0.0~0.5の場合は裏とする }
プログラムの乱数生成器を使えば、膨大の数の試行が可能になります。
実験結果
試行回数ごとの表・裏が出た回数・割合は下記の様になりました。
試行回数 | 表 | 裏 | ||
---|---|---|---|---|
回数 | 割合(%) | 回数 | 割合(%) | |
1,000 | 524 | 52.4 | 476 | 47.6 |
10,000 | 5,071 | 50.71 | 4,929 | 49.29 |
100,000 | 50,317 | 50.317 | 49,683 | 49.683 |
1,000,000 | 499,115 | 49.912 | 500,885 | 50.089 |
乱数なので試行毎に数値は変化しますが、おおよそ下記の事が言えるでしょう。
- どの試行回数でもおおよそ表・裏半々
- 試行回数が少ないとどちらかにやや偏るが、試行回数が多いとほぼどちらも50%に近づく
- ピッタリ半々になるという事は稀
まぁ、この辺りは想定通りです。
連続して表か裏が出る確率
コインを投げ続けると、表が連続して出たり、裏が連続して出たりする場合があります。
100万回の試行データから、連続してN回表が出る回数、裏が出る回数をカウントしてみると下記の様になります。
連続出現回数 | 表 | 裏 | 合算 | 補足 |
---|---|---|---|---|
2 | 62,361 | 62,609 | 124,970 | |
3 | 31,563 | 31,411 | 62,974 | およそ1/2 |
4 | 15,535 | 15,654 | 31,189 | およそ1/2 |
5 | 7,716 | 7,862 | 15,578 | およそ1/2 |
6 | 3,937 | 3,945 | 7,882 | およそ1/2 |
7 | 1,896 | 2,062 | 3,958 | およそ1/2 |
8 | 921 | 966 | 1,887 | およそ1/2 |
9 | 476 | 475 | 951 | およそ1/2 |
10 | 250 | 231 | 481 | およそ1/2 |
何となく規則性がありそうです。
例えば「2回だけ」表が連続して出る場合は、表が出る確率が0.5なので二回連続なら0.5×0.5=0.25…と計算してしまいそうですが、実際には下記の様になります。
「2回だけ」表が連続するという事は、その前後は必ず裏である必要があるので、
裏⇒表⇒表⇒裏
というパターンを考える必要があります。そのため、
裏が出る確率x表が出る確率x表が出る確率x裏が出る確率
=0.5 x 0.5 x 0.5 x 0.5
=0.0625
という事になります。
試行回数は、100万回なので、1,000,000 x 0.0625 = 62,500回出現すると予測されるので、改めてデータを見ると確かに近い値になっています。
「3回だけ連続する回数」が「2回だけ連続する回数」の約半分になっているのも、以下の様なパターンになるので、確率が0.5倍になるためですね。
裏⇒表⇒表⇒表⇒裏
表か裏が連続して出た後はどちらが出やすい?
…⇒表⇒表⇒表⇒表⇒表⇒表⇒?
表が連続して出現した後、その次は表か裏かどちらが出やすいでしょうか?
自分は『表がこれだけ連続したのなら、バランスをとるために裏が出やすいのでは?』とついつい考えてしまいがちになりますが…。
傾向をチェック
こちらも100万回の試行データをチェックすると、下記の様になりました。
表が N回連続した後 | 表がでる回数(割合) | 裏がでる回数(割合) |
---|---|---|
2 | 31,216 ( 50.057 %) | 31,145 ( 49.943 %) |
3 | 15,661 ( 49.620 %) | 15,901 ( 50.380 %) |
4 | 7,749 ( 49.881 %) | 7,786 ( 50.119 %) |
5 | 3,798 ( 49.222 %) | 3,918 ( 50.778 %) |
6 | 1,960 ( 49.784 %) | 1,977 ( 50.216 %) |
7 | 999 ( 52.690 %) | 897 ( 47.310 %) |
8 | 473 ( 51.357 %) | 448 ( 48.643 %) |
結果
表がいくら連続しても、その次は表が出る割合も、裏が出る割合もほぼ半々です。
まぁ、コイン投げが前の事象(投げた結果)に関わらず、表が出る確率も、表が出る確率も0.5なので、当然と言えば当然ですが…。
考察
人はどうしても経験や知識から『表(裏)が連続してN回続いた』という事に、何かの意図・サインを感じてしまうものですが、確率的には、
⇒表⇒表⇒表⇒表⇒表⇒表⇒
も
⇒裏⇒表⇒裏⇒裏⇒表⇒裏⇒
も同じ(0.5)Nの確率で起きる事象でしかありません。
それが分かっていても、連続した結果を見るとついつい『おっ!?』と思ってしまいます。
人はコイン投げの次の結果を予測できるか?
過去のコイン投げの結果を参考にしながら、次のコイン投げの結果を予想したら当たるでしょうか?
当たり続けるという事はほぼないのは自明なのですが、予測して当たる確率が60%とか70%などの数字を出せるでしょうか?
実験
こちらも、ランダムに生成した表・裏のデータについて、表裏を予測してその正解不正解をデータにしてみます。
しかしながら、さすがに100万回という数字は無理なので、1,000回でやってみました。
結果
全体の結果
コインの表裏予想の結果は下記の様になりました。
予測総数 | 正解数(割合) | 不正解数(割合) |
---|---|---|
1,000 | 508 (50.8%) | 492 (49.2%) |
と正解率はほぼ50%となり、確率50%の事象を読み切ることも、逆に当たらなすぎるという事もありませんでした…^^;
サンプル数が少ない場合
しかし、100回ごとに正解率を見てみると下記の様になります。
範囲 | 正解数 | 不正解数 |
---|---|---|
0 ~ 100回 | 48 | 52 |
100 ~ 200回 | 43 | 57 |
200 ~ 300回 | 63 | 37 |
300 ~ 400回 | 48 | 52 |
400 ~ 500回 | 52 | 48 |
500 ~ 600回 | 51 | 49 |
600 ~ 700回 | 53 | 47 |
700 ~ 800回 | 50 | 50 |
800 ~ 900回 | 42 | 58 |
900 ~ 1000回 | 58 | 42 |
試行回数が減ると正解・不正解に偏りが生じるので正解率が60%の時もあれば40%の時も出てきます。
『予想の波』とも言えそうですが、調子が良い・悪いではなくただの偶然の偏りでしょう…。
連続正解数
また、何回か予想していると連続して当たる場合や、逆に連続して当たらない場合が出てきます。
連続正解数を見てみると下記の様になりました。
連続正解数 | 出現数 |
---|---|
2 | 57 |
3 | 33 |
4 | 16 |
5 | 8 |
6 | 4 |
7 | 1 |
8 | 1 |
9 | 0 |
10 | 0 |
11 | 0 |
12 | 0 |
13 | 1 |
逆に連続不正解数を見てみると下記の様になりました。
連続不正解数 | 出現数 |
---|---|
2 | 58 |
3 | 27 |
4 | 14 |
5 | 9 |
6 | 3 |
7 | 2 |
8 | 2 |
13回連続正解したときには『自分は神か!?』とも勘違いしそうにもなりましたが、データを見ると予想の正解・不正解も一様乱数に則っているようです。
例えば2回だけ正解する場合を考えるとそのパターンは、
不正解⇒正解⇒正解⇒不正解
になりますが、確率0.5の事象の予想の正解率はやはり0.5になるので、上記のパターンになるのは、
0.5×0.5×0.5×0.5 = 0.0625
という確率になります。
1,000回の試行なので、1,000 x 0.0625 ≒ 63回となり、おおよそこれに沿った結果になっています。
考察
自分は『予想した方とは逆の結果になりやすい』と思っているので、自分が予想すると40%や30%の確率で当たる(外れる確率が高くなる)と言うような事が起きるのかな?と思っていましたが、そんな事はありませんでした。
試行回数が多ければ、確率0.5の事象の予測結果は0.5の確率で当たるという当たり前の結果になりました。
局所的には13回連続で正解した時もあったり、8回連続間違えたりする時もあり正解・不正解に偏りが発生します。これが人にとっては『ついている』とか『ついていない』とかになると思いますが、これも結局元となる事象の確率に寄ったものになっていました。
まとめ
シンプルなコイン投げの確率(表が出る確率0.5、裏が出る確率0.5)について、少し気になったので、いろいろ実験してみました。
結局のところ『物事の結果は確率に従う』という事でしょう。
確率0.5のコイン投げでもこれだけややこしいのですから、確率がそれ以外の場合や、直前の結果が次の結果に影響するような事象の場合はさらにややこしいことにもなります。
難しく・ややこしいものではありますが、面白いものでもあります。
ただ、確率は『次は表』『次は裏』というような未来を予想・予知する物ではない事も理解しておく事も大切でしょう…。