[DIY] 通電火災対策

最近は地震が多い…

今年元日に石川県能登地方で令和6年能登半島地震が発生しました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

近年震度7を記録する地震としては以下の様なものがあります。

名称発生年
阪神淡路大震災1995
新潟県中越地震2004
東北地方太平洋沖地震
(東日本大震災)
2011
熊本地震2016
平成30年北海道胆振東部地震2018
令和6年能登半島地震2024

地域はバラバラですが、数~10年の間に日本のどこかで震度7を記録するような大きな地震が繰り返されています。震度6を含めると相当数の地震が日本各地で発生しています。

そして、自分自身も現在は南海トラフ地震の震源域候補の地域に住んでおり『次はもしかして…』という思いを抱いています。

通電火災とは?

地震の際に気を付けないといけないものの一つとして火の始末です。

ガスの元栓

地震の時に料理をしていたら「ガスコンロの火を止めなきゃ」と思いますが、最近のガスメータ(マイコンメータ)は大きな地震を感知すると安全装置によりガス供給が遮断されるようです。

そのため最近では「台所周りは危ない物(刃物や熱い物)が多いから地震の時には近づかない」という事も言われたりもするようです。

停電

大きな地震が発生すると、発電所、送電設備、電柱・電線などが破損し、地域一帯が停電する可能性があります。

当然停電している間は電気が流れないので、電気製品から出火する可能性は低いのですが・・・

地震時の電気系統・電気製品周りで起きる事

大きな地震の場合、家屋が倒壊・半壊する事があります。そうすると屋内配線のケーブルが切断・断線・破損したりする可能性があります。

また、屋内の家具などの転倒で、電化製品自体が破損したり、電気製品のコードが圧迫されたり引っ張られたりして、断線や破損が発生する場合があります。

また、冬場など電気ストーブを利用している場合などは、電気ストーブが転倒して燃えやすい物の近くに、もしくは燃えやすい物が電気ストーブに掛かったり、近くに落ちたりします。

こういった事が起こっても、大規模な停電が発生している間は火災などにつながる可能性は低いでしょう。

電力復旧

停電が発生すると、電力会社の方々が懸命に電力復旧に努められ、しばらくすると停電から復旧し、部屋の明かりも戻り、普通は「良かった良かった」となりますが、良くない場合もあります。

通電火災

前述の様に、電気系統や電気製品周りに問題がある場合に、停電から復旧し通電が開始されると火災につながるケース、いわゆる通電火災になる事があるからです。

  • 破損したコードやケーブルがショートして出火
  • 破損した電化製品から出火
  • 電気ストーブ周りの可燃物から出火
  • など

家に人がいれば、もしかしたら出火時に対処できるかも知れませんが、大きな地震で家が全半壊してしまったとか、避難所へ避難しているという場合もあり、誰もいない家から出火すると、対処が手遅れになって大きな火災につながります。

大きな災害の時なので、仕方がない事もありますが、自分の家からの火事で、周り近所一帯も燃えてしまったなんて事にはならない様にしたいものです。

通電火災対策

では通電火災を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?

対策① 感震ブレーカーの設置

家の分電盤に「感震ブレーカー」(前述のガスメータ(マイコンメータ)の様に一定以上の震度の地震を感知すると、家のブレーカー(大元の漏電ブレーカー)を遮断する装置)を設置する方法です。

行政でも感震ブレーカー支援を行っている所もあるので、設置前に申請すれば補助金が出る場合もあるようです。

対策② DIYでの対策

感震ブレーカーの様に、地震で大きく揺れたら、大元のブレーカーが落ちる様な仕組みを構築できれば良い訳です。

今回はこちらで対応したいと思います。

費用も安くなるようにしたい。(心の声)

通電火災対策装置のDIY

DIYをする前の前提

今回のDIYではブレーカー周りを触る訳ですが、電気工事士免許は不要です。

ただし、分電盤のブレーカーのスイッチが露出している事が前提です。

扉がついていて、通常扉が閉まっていて、ブレーカーのスイッチが露出していない場合は今回の対象外です。理由は読み進めていただければわかると思います…。

装置(?)の目的

地震で揺れた時に、家の大元とブレーカーのスイッチが切れる様にするのが目的です。

漏電ブレーカーの左側には、サービスブレーカー(契約アンペア数に応じたブレーカー)が配置されるスペースがありますが、スマートメーターになってアンペア数がそちらで制御できる様になったからか、「SBスペース接続器具」というものが備え付けられています。それにはスイッチがついていないので、漏電ブレーカーのスイッチを対象にします。

装置の概要

装置の概要は下記の様になります。

地震が起きると、台座の上の重りが落ちて、スイッチにつながった紐でブレーカーのスイッチが切れるという仕組みです。

『Simple is the BEST』^^;

材料一覧

今回作成する通電火災対策装置の材料は下記になります。

① T型金具(横折)、サイズ60、適用ねじ径2.4~2.7mm
② ねじ(タッピング)、サイズ3×16
③ ペットボトルの蓋
④ なべ小ねじ(ボルト+ワッシャー+ナット)、サイズ(M2.6 x 10)
⑤ ゴルフボールが入るサイズの巾着袋 (手作り)
⑥ ゴルフボール(使用済み)

これ以外には、工具などが必要です。(キリ、ドリル、ドライバ、裁縫セットなど)

装置の作成

重り部分の作成

重りと重りとつながる紐部分を作成します。
今回重りは中古のゴルフボール、重りにつながる部分に巾着袋を使用しました。

巾着袋の作成

ゴルフボールがちょうど収まるようなサイズの巾着袋は見つからなかったので、100円ショップで布切れと、紐を購入して自分で裁縫をして作成しました。

材料は下記のサイズの布と紐と縫い糸です。

作成手順は下記です。

① 紐を通せるように筒状に縫う
② 紐を通す
 ※今回袋が小さいので、この段階で紐を通しておく
 ※ヘアピンを使ったり、細い棒に紐をテープで固定したりして通す
③ 表側が内側になるように半分に折り、袋状に縫う
④ 表側が外側になるように裏返して完成

ゴルフボールの様なサイズの物を紐で括るというのが以外に難しかったので、巾着袋に入れる方法をとりましたが、巾着袋を使わなくても紐巻いてテープでぐるぐる巻きにして固定しても良いと思います。(見た目が少し悪くなるかと思いますが)

紐の先の結び目

紐の先は、ブレーカーのスイッチに引っかかる様に結び目を2つ作り輪っかが出来る様にします。

台座の作成

重りを置く台座部分を作成します。

(1) ペットボトルの蓋の中心に穴をあける

台座に固定するための穴をキリやドリルなどを使ってあけます。

穴の周りのバリはカッターの先等を使って取り除きます。

(2)T型金具とペットボトルの蓋を固定

なべ小ねじを使って、T型金具とペットボトルの蓋を固定します。

(3)T型金具を分電盤近くの柱や壁に固定

ねじ(タッピング)を使ってT型金具を柱に固定します。

2mm程度の径のドリルかキリで穴をあけてからねじを締めるのが良いかと思います。

ペットボトルの蓋を先にT型金具に固定しておくと、T型金具を壁や柱に固定する際の作業がしにくい場合があるので、先にT型金具を壁や柱に固定してから、ペットボトルの蓋をT型金具に付ける手順でもOKです。

装置の設置

柱に取り付けた台座に重り(巾着袋に入れたゴルフボール)を置き、紐の先のわっかを漏電ブレーカーのスイッチにひっかけて、通電火災対策装置の設置の完了です。

動作検証

装置やシステムを作成しただけでは十分ではありません。

装置・システムが設計通り動作するかを確認・検証する必要があります。

動作検証の際に、ブレーカーが落ちると家の中が停電状態になるので、ハードディスクレコーダーで録画中の物がないか、作業中のデスクトップPCがないか、調理中の電気製品がないかなど、停電になっても不具合が発生しない事を確認しておきます。

ただ、今回は地震を起こす事が出来ないので、どのくらいの揺れで重りが台座から転げ落ちるかは検証できません…。

そのため、重りが台座から転げ落ちた時にきちんとブレーカーのスイッチが切れるかどうかのみを確認します。

指で重りを押して重りを台座から落とすと、「バチン」とブレーカーのスイッチが切れましたので成功です^^。

※検証後はブレーカーを入れ直し、家の中の家電製品がちゃんと動作するかを確認します。

もし、動作検証でブレーカーのスイッチが切れなかったら…

原因として、重りの重さが少なかったり、紐の長さが短くて重りの勢いがつかなかったり、輪っかがしっかりスイッチに掛かってなかったりすることが考えられるので、重りの重さ、紐の長さ、輪っかのサイズなどの調整が必要となります。

まとめ

今回は簡単な仕組みの通電火災対策装置をDIYで作成してみました。

この装置がどれくらいの震度の地震で実際に動作するかは不明ですが、家具が転倒したり、家が倒壊するほどの揺れであれば、おそらく重りは台座から落ちるでしょう…。(そういう事(地震)が実際にはないに越した事はないですが、そうも言っていられないので、備えは大事です)

大きな揺れで漏電ブレーカーのスイッチが切れる様な仕組みを作っておけば、地震発生時に通電火災を気にせず避難を最優先にする事が出来ます。(ガスメータは既に自動で止まるので、火災の心配は相当減ります。)

しかし、ここ最近はリチウムイオンバッテリーを利用した製品も増えているので、それらが転倒した家具などで破損したり、大きな力が加わると、発火したりする可能性があるので、家のブレーカーが切れたからと言って火災の可能性がゼロになる訳ではありません。世の中便利になるのは良い事ですが、いざという時には不安の種になってしまうのが玉に瑕です…。